月別アーカイブ: 2013年6月

アポロ13号の危機を救ったオメガ スピードマスター

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

引き続きオメガ スピードマスターについて紹介していきますが、今回は感動したスピードマスターの伝説を紹介していきます!!!

オメガ スピードマスターが月面着陸成功に貢献しましたが、一番能力を試された危機がありました。

それは1970年 3度目の月面着陸をめざして飛び立ったアポロ13号の話です。

アポロ13号

月を目指し地球から30万km以上離れた宇宙空間で突然酸素タンクが爆発するというアクシデントが起こりました。つまり酸素、電力、水が大幅に不足し、エンジン、コンピューター、各ヒーター類などが使用不能ないし使用制限されることになったのです。

地球のヒューストン管理センターからの指示で、寒さや水分不足に耐え抜けば帰還が可能なはずでしたが、思わぬアクシデントがまた発生しました。

『アポロ13号が地球への再突入コースから外れつつある』ということでした。宇宙船の軌道がずれれば、宇宙のかなたに飛ばされるか、大気の摩擦で燃え尽きてしまいます。

自動の誘導システムは使えないので、マニュアルでロケットエンジンを噴射し軌道修正をとらなければいけない状況で、指定された時間に14秒間だけエンジンを噴射しなければならなかったのです。

そこでオメガ スピードマスター クロノグラフに正確な14秒間を託されたんです!

CK2998

クルーの命がかかっているミッションを、冷静に刻みました!

結果、正確な大気圏突入コースへ起動修正でき3名のクルーも無事地球に帰還しました。

クルー

ちなみに、宇宙での船外活動にはスピードマスターの着用が義務づけられてるそうです。

OMEGA(オメガ)スピードマスター
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月面に降り立ったオメガ スピードマスター

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

1969年 アポロ11号より、初めて人類が月面への第一歩を踏み出した時、その腕に装着されていたのは、オメガ スピードマスターです!

Apollo_11

月面の滞在時間を管理していたのは、腕に装着されていたクロノグラフだけです。2時間31分の時間管理を見事に計測しました。

この成果を達成させたムーブメントは何だったのか?という議論が昔はありました。

『Cal.321』それとも『Cal.861』?

月に行った際にはCal.321を改良されたCal.821が存在していたからです。

その答えは、スイスにあるオメガ博物館に展示されている、実際に月に行ったスピードマスターにて確認がとれたそうです。

月面着陸ムーブメントは『Cal.321』です!

Cal.321

スピードマスターが公式採用された後、NASAがオメガに約100本の時計を発注していたので、Cal.821が開発される前のスピードマスターだったそうです。

つまりCal.321がジェミニ計画、アポロ計画の公式採用されていたムーブメントです!

現在、Cal.321ムーブメントの純正パーツは調達ができないため、内部パーツの加工や調整を施しながらの修理になりますね。

お困りの方は、是非ご相談ください。

OMEGA(オメガ)スピードマスター
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オメガ スピードマスターと宇宙の関係

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

今回は、オメガ スピードマスターと宇宙の関係を紹介していきます。

当時、1961年にケネディー大統領がアメリカの宇宙計画を発表し、マキュリー計画やジェミニ計画、アポロ計画など宇宙でのミッションがあげられ、宇宙でも耐えられる腕時計が必要でした。

NASAの担当は宇宙空間で耐えられるクロノグラフを選定するため、オメガを含めた3社がテストを受けたそうです。

CK2998(NASAの担当に購入されたスピードマスター セカンドモデル)

結果、オメガが過酷な条件をクリアし正式に宇宙時計として任務を受けるようになったとされています。

 

公式時計を選ぶ際の過酷な11のテスト

『高温環境』、『低温環境』、『気温・気圧』、『相対湿度』、『酸素雰囲気中』、『衝撃』、『加速度』、『減圧』、『高圧』、『振動』、『可聴音ノイズ』

最後までテストを続行できたのはスピードマスターだけだったそうです!!!

ちなみに、スピードマスターは公式時計になる前に宇宙を飛んでいます。1962年マーキュリー計画でマーキュリー8号の飛行士の腕に装着され地球軌道周回に成功していたそうです!!

 

マーキュリー計画以降のジェミニ計画、アポロ計画で、さらにスピードマスターと宇宙の関係は密接になっていきます!

OMEGA(オメガ)スピードマスター
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オメガ スピードマスター 1stモデルと復刻モデル

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

本日は『オメガ スピードマスター 1stモデルのレプリカ Ref.3594-50』の修理ご依頼がありましたので、このレプリカとファーストモデルについて紹介していきます!

CK2915 3594-50

(左:1stモデル Ref.2915  右:復刻モデル Ref.3594-50)

かなり忠実に復刻されていると感じます。

アロー針やベゼルに直接刻印されたタキメーター、またクラシカルな風防もいいですね!

(もちろんタキメーターの表記は300まで!)

またマニアックな点では、オメガのロゴです!当時同様、アップライトのロゴで再現されているのがいいですね!

外観で大きな違いは、リューズガードが現在は装備されている点ですね。リューズをぶつけたりしての破損を防ぐためにも必須の機能ですけど。

数年前からオメガに限らず、ほとんどのブランドが復刻モデルを発表しているので非常に興味深いですね。

OMEGA(オメガ)スピードマスター
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オメガ スピードマスター プロフェッショナルの修理 Ref.3570-50

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

梅雨のせいか、ここ最近時計の湿気入りや水入りの修理が増えております。時計は定期メンテナンスをしていないと防水性は低下しているので、皆さん気を付けてくださいね!!

本日は最近修理のご依頼が多い、オメガ スピードマスター プロフェッショナル Ref.3570-50を紹介します!

3570-50

このモデルは手巻きスピードマスターの5thモデルに属しており、『ムーンウォッチ』と呼ばれています。なぜならこのモデルの3thモデルがNASAのテストをクリアし宇宙へ旅立った伝説のモデルで、このモデルはその後継機だからです。

 

1997年頃に新しく改良されたムーブメントCal.1861を搭載していますが、レマニア社のムーブメントを採用しているかなり高性能のムーブメントです!

Cal.1861

(レマニア社のムーブメントは、NASAの過酷なテストに合格しており、またパテック・フィリップにも供給しています)

このモデルはあえて宇宙に採用された時のデザインを崩さぬよう、風防もプラスチック風防をあえて採用しており、風防の丸みが昔ながらの味わいが感じさせてくれます。デメリットは、風防はキズが付きやすいです。でも磨くことができるのでほぼ綺麗になりますけど。

クロノグラフのムーブメントなので、オーバーホールは費用が高いので皆さん水入りには注意してくださいね。

OMEGA(オメガ)スピードマスター
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ロレックス念願の自社開発ムーブメントのデイトナ!Ref.116520

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

本日は今も生産されている現行のデイトナ Ref.116520を紹介します!

116520BK 116520WH

2001年から今も販売しているデイトナ!

このモデルから、ロレックスが自社開発したムーブメント(Cal.4130)を搭載したデイトナとなります。

 

自社開発ムーブメントの改良点を修理会社からの目で説明します。

Cal.4130

●ダブルブリッジになったことで安定性と耐久性を!

テンプを支えるブリッジが前Cal.4030は片方から支えていましたが、両方から支えるブリッジになったことで、安定性や耐久性を向上させています!

●パワーリザーブが長くなった!

前モデルのパワーリザーブは約50時間だったが、約70時間まで大幅にアップ!

●ハック機能搭載!

ハック機能がつくことで、秒針を止めることができ、正確な時間を合わすことができる!

●パラクロム製のゼンマイ

帯磁性、衝撃性、温度変化に対して強度が増している!(2005年頃からブルーのヒゲゼンマイになっている)

●垂直クラッチ式中間車の採用!

動力を縦に伝えるための機構で、クロノグラフ作動時の針飛びやトルクのロスが少ないとされています。

 

ムーブメントとしては、動力伝達の効率化もそうですが、メンテナンス性が向上されたことで、精度も出しやすくオーバーホールをおこなえます。

ちなみに、時計修理専門店シエンでの『デイトナ Ref.116520』 オーバーホール(分解掃除)基本料金は、34,000円(税抜)です。

定期メンテナンス、故障の際はご検討下さい!

ROLEX(ロレックス)デイトナ
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ロレックス 修理専門店シエン Cal.4030 エル・プリメロについて

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

先日紹介したロレックス デイトナ Ref.16520のムーブメントCal.4030 エルプリメロを紹介します。

エルプリメロ

今までロレックスのデイトナは、バルジュー製のムーブメントを採用してきましたが、このRef.16520からは、『ゼニス社のエル・プリメロ Cal.400』をベースにしています。

エル・プリメロといえば、1969年に開発された自動巻クロノグラフ・ムーブメントで、毎時3万6000振動を実現しています。(3万6000振動がどれだけ早い動きをしているのかというと、秒針が1秒間に10回動いて1秒に達します)

もちろんロレックスは、そのままこのムーブメントを採用せず、独自に改良しています。振動数を毎時2万8000振動にし、耐久面を向上させ、テンプやガンギ車などおそらく200か所以上を改良してCal.4030を開発しました。

このCal.4030からすべてのデイトナは、クロノメータームーブメントになりました。

 

せっかくなので、なぜエル・プリメロがここまで認知されたのか?を私なりに説明します。

Cal.400ゼニス Cal.400(エル・プリメロ)

大きな理由は2つで

●1つ目の理由

世界で初めての自動巻専用に設計されたムーブメントなのです。当時はホイヤー社、ブライトリング社、ハミルトン社で共同開発していた、自動巻クロノグラフ・ムーブメント『クロノマチック』があるが、 これは手巻きムーブメントに自動巻機能を追加して開発されたムーブメントだが、エル・プリメロは一から自動巻クロノグラフ・ムーブメントを開発し、ゼニス社の高い技術者が認められたからと思われます。

●2つ目の理由

毎時3万6000振動のハイビートムーブメント!現在でもこれほどのテンプの振動数を超える機械式ムーブメントはまだ発表されていないと思います。

これだけ早いテンプの振動数を眺めていると感動します!

もちろんハイビートになれば、頻繁にパーツが反復運動をするので、各パーツの摩耗は早くなります。ガンギ車やアンクル部分は、最も消耗が激しいですが、ガンギ車の歯数を21枚に(通常のガンギ車の歯数は15枚)増やし、アンクルの爪専用の潤滑油を開発し耐久性を向上させています。

 

精度の高いムーブメントには、メンテナンスも超一流技術のレベルが求められます!エル・プリメロ搭載のメンテナンス、ロレックス デイトナのメンテナンスは、是非 時計修理専門店シエンにお任せ下さい!

ROLEX(ロレックス)デイトナ
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安心していただける技術者のもとメンテナンスさせて頂きます!

最高峰ムーブメント!エル・プリメロ搭載のロレックス 自動巻きデイトナ

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

今回ご紹介するデイトナは、かなり現行モデル(Ref.116520)のデザインに近いモデルです。現行の一つ前のモデルです!

16520BK 16520WH

1988年頃~2000年まで生産されたRef.16520のデイトナ!

手巻きデイトナからこのデイトナに変わった時に、デザイン以外でとりあげたい点は3つ!

●念願のデイトナ初自動巻モデル!

●最高峰レベルのムーブメント!ゼニス社の『エル・プリメロ』搭載!

●デイトナのステンレスモデル初『クロノメーター』使用!(手巻きデイトナRef6263、Ref.6265の金無垢はクロノメーター使用でした)

 

このモデルは約12年間生産されましたが、この間にマイナーチェンジが行われており、初期モデル(シリアルがR品番、L品番)と1990年頃~1998年頃までのモデル(シリアルE品番~U品番)と後期モデル(シリアルA品番、P品番)で少し使用が異なっています。

ほんと細かい仕様違いですが、その使用によって販売金額が100万円以上から差がでるから凄い人気のモデルです。(そもそもデイトナは人気があるので、安いモデルでも100万円近くはしますね…。)

このRef.16520の特徴であるムーブメント『エル・プリメロ』

エルプリメロ

語りたいのですが、長くなるので後日紹介していきます!!!

ROLEX(ロレックス)デイトナ
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無視することできないロレックス 手巻きデイトナ Ref.6240

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

手巻きデイトナを紹介してきましたが、その中でも忘れてはならない手巻きデイトナを紹介します。

6240

手巻きデイトナ Ref.6240!

手巻きデイトナに防水性能がそなわったのは、一般的に1970年代のRef.6263とRef6265になりますが、1965年~1969年にねじ込み式プッシュボタンを搭載したコスモグラフが生産されていました。

お目にかかることはほんとんどないぐらい希少モデルです。

手巻きデイトナは今まで、プラスチックベゼルとステンレスベゼルの2モデルを同時期に販売していましたが、このモデルは1モデルのみです。ねじ込み式プッシュボタンを備え、文字盤には『OYSTER』の表記があります。この時代はRef.6262やRef6264のようにねじ込み式プッシュボタンは採用されていないモデルが生産されていた時代です。

おそらく後継機になるRef.6263、Ref.6265のプロトタイプとして生産されたんではないか、という可能性が高いです。

ROLEX(ロレックス)デイトナ
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最上級の希少アンティークモデル エキゾチックダイヤル(ポールニューマンモデル)

 

こんにちは。時計修理専門店シエンの山口です。

手巻きデイトナの紹介をしてきましたが、本日はその中でも希少モデル!エキゾチックダイヤル(ポールニューマンモデル)を紹介していきます。

エキゾ

デイトナの登場とともに生産され、1970年代に姿を消したエキゾチックダイヤル!つまり手巻きのデイトナの型番には全てこのダイヤルが存在しています。

特徴は、『文字盤の外周にあるサークル』、『インダイヤルの数字の書体』、『インダイヤルの四角いポイント』があげられる。インパクトある文字盤ではあったが、奇抜さゆえに一般うけしなかったのか、1970年代で生産が終了している。

そのため、アンティーク市場では数が少ないので、今では注目度、人気が非常に高いので、恐ろしい金額で取引されています。

エキゾチックダイヤルの名前は、正式名称ではなく、俗称です。

名前の由来は、文字盤の雰囲気がどことなくエキゾチック(異国情緒あふれる)であるから、またはエキゾチックカー(スーパーカーのこと)のメーターから連想されているという説がありますが、真相は明らかではありません。

また、俳優ポール・ニューマンが愛用したことから、『ポール・ニューマンモデルとも呼ばれています。

ポール・ニューマン

レーサーとしても知られるアメリカの俳優ポール・ニューマン

 

エキゾチックダイヤルには謎が多く、資料不足で実証は難しいですがいろいろな見解があります。

●クロノグラフ針は正三角形が正しい?

エキゾの針 エキゾの針2等辺

クロノグラフ秒針の先端にある三角形は、文字盤の色によっても異なってきますが、形状もモデルによって異なっています。一般的な説(あくまで私の知識ですが)では、正三角形の形だという説が多いですね。

ただ購入後、修理等でクロノグラフ針が二等辺三角形の針に交換されている可能性もあります。

 

●赤いサークルの目盛は赤と白どっちが正しい?

サークルの赤 サークルの白

一説によると、デイトナの初期モデル、Ref.6239やRef.6241などは赤色のサークルが多くみられるとのことで、後期モデルのRef.6263やRef.6265になると、白色のサークルが多いとされています。

徐々に赤色から白色に変わったと思われるのですが、初期モデルの中に白色のサークルが存在したり、逆の後期モデルで赤色のサークルモデルが存在したり様々です。

謎が多いので、解明するのは困難ですが今後もいろいろな角度から考察していきたいですね!