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機械式時計にオーバーホールが必要な理由

機械式時計の場合、ロレックスやオメガなど、どんな高級ブランドの時計であっても定期的なオーバーホールが必要です。
機械式時計は複雑な歯車が噛み合って動くため、部品と部品の間で磨耗が生じ、油が劣化、酸化するからです。
オーバーホールを定期的に実施してパーツの磨耗を防ぐことによって、機械式時計のコンディションを維持させることができます。
ということで本記事では、機械式時計やオーバーホールの基本と、機械式時計にオーバーホールが必要な理由について初心者にもわかりやすく解説していきたいと思います。
機械式時計のオーバーホールを検討されている方にとっては非常に参考になる内容ですので、是非とも最後までご覧ください。

機械式時計とは?
機械式時計とは、巻き上げられた主ゼンマイがほどける際の動力を起点として動く時計のことです。大きく分けて、手巻き式と自動巻き式の2種類があります。
機械式時計にオーバーホールが必要な理由を理解するためには、機械式時計の基本と仕組みをしっかりと理解しておくことが非常に重要です。
機械式時計の基本と仕組みをしっかり理解することでオーバーホールの重要性もわかりますし、正しい方法で時計のメンテナンスをすることができます。
こちらでは、機械式時計の基本的な仕組みと、混同しがちなクオーツ式時計との違いについてわかりやすく解説していきます。
機械式時計には、手巻き式と自動巻き式の2種類がある
機械式時計には、このように手巻き式と自動巻き式の2種類があります。
仕組みは非常にシンプルで、両者ともに内部のゼンマイを巻き上げることによって時計が動きます。
ただ、どのようにしてゼンマイを巻き上げるのか?その方法に両者の違いがあります。以下、両者の違いについて見ていきます。
手巻き式では、リューズと呼ばれる部品を指で回すことによってゼンマイが巻き上がります。
その名の通り、手巻きでゼンマイを巻き上げて時計を動作させるということですね。
一方で自動巻き式は、ローターという部品が回転することによって、自動でゼンマイが巻き上がる仕組みになっています。
手巻き式と自動巻き式はゼンマイを巻き上げるメカニズムが違うだけで、構造そのものはほぼ同じと考えて良いでしょう。
最近では自動巻き式時計が主流になっており、様々な機構が付け加えられた時計が多数作られてるようです。
このように、機械式時計はシンプルな構造を持ち、パーツの数もそれほど多くありません。しかし、それぞれのパーツは1000分の1mm単位で設計されており、さらには熟練の職人技による入念な調整を経て組み立てられています。
毎日毎日複雑な歯車が噛み合って動くため、どこかで部品と部品の間で磨耗が生じ、時が経つにつれて油が劣化、酸化してきます。だからこそ、定期的なオーバーホールが重要になってくるわけですね。
以上のように、「機械式時計」の仕組みはすべての時計の「基本」となります。
時計の基本を理解できたところで、次に、混同しがちなクオーツ式時計について見てみましょう。
機械式時計とクオーツ式時計の違い
一方で、「クオーツ式時計」は「機械式時計」とは異なり、電池とステップモーターを動力源にしています。
ステップモーターとは、時計の秒針のように一定の角度ずつ回転するモーターのことを言います。
内蔵された水晶に電圧がかかることで規則的な振動が生じ、その振動数が1秒間に達したところで、ステップモーターが針を1秒動かすという仕組みですね。
このように、クオーツ式時計は電池を動力源にしていますから、機械式時計に比べて精度が飛躍的に向上しています。
機械式時計は1日にだいたい数秒から10数秒の誤差が生じるのに対して、クオーツ式時計は月に平均20秒前後の誤差になっています。超高精度なクオーツ式時計の場合は、年に10秒程度の誤差ということもあるようです。
そんなわけですから、クオーツ式時計にはオーバーホールは必要ないと言われることもあります。もちろん、クオーツ式時計でもオーバーホールを実施した方が良いのですが、機械式時計ほどのメンテナンスは必要ないというのが一般的です。
以上が機械式時計の簡単な仕組みと、クオーツ式時計との違いでした。以上を踏まえた上で、次は「オーバーホールとは何か?」について見ていきましょう。
時計のオーバーホールとは?
時計のオーバーホールとは、時計のすべての部品を分解、洗浄し、組立、注油、調整、実測、検品までを一連に実施する工程のことです。
ロレックスやオメガのようなどんなに高級な機械式時計であっても、その基本的な仕組みがゼンマイを巻き上げるメカニズムである以上、毎日時を刻んでいると必ずどこかしらの部品が摩耗し、油が劣化、酸化していきます。
そうならないために、部品の洗浄や注油、調整や実測など、時計の定期的なメンテナンスを行うことを「オーバーホール」と言うわけですね。
時計のオーバーホールは、自動車に例えるならオイル交換、人間に例えるなら健康診断をイメージしていただければわかりやすいかもしれません。
なぜ機械式時計にオーバーホールが必要なのか?
ここまでの内容を理解していただいた方なら、機械式時計にオーバーホールが必要な理由はもうお分かりだと思います。
時計を長持ちさせ、いつまでも正確に動くようにするためにオーバーホールが必要となるわけです。
特に、機械式時計はゼンマイを動力源として「歯車」と「カナ」と呼ばれるパーツが噛み合って動力が伝達されていく構造上、長期間使用していると部品と部品の間が磨耗していきます。
そのため、機械式時計は磨耗を防ぐために各部品に専用油が塗られています。しかし、この油は時間とともに粘度が低下し、部品を守ることができなくなってきます。
ここでオーバーホールの出番になるわけです。オーバーホールで油を新たに加えることによって、部品のキシミや割れを防ぐことができるのです。
また、機械式時計は長期間使用すると、金属カスなどで内部が汚れてしまいます。
こうした汚れも、オーバーホールをすることで除去することが可能になるわけです。
このように、パーツの磨耗や内部の汚れを防ぐためにも、定期的なオーバーホールが必要になってくるというわけですね。
車の場合もオイルが汚れると、オイルの燃えカスであるスラッジ(汚泥)が発生し、自動車のエンジンの性能や燃費が悪化してしまいますね。そうならないように、車でも定期的なオイル交換が必要になるわけです。
車がその性能を維持させるために定期的なオイル交換を実施するのと同じように、機械式時計もその性能を維持させるために定期的なオーバーホールが必要になってくるということです。
ちなみにこちらは補足ですが、だからといってクオーツ式時計ならばオーバーホールが不要かと言われるとそんなことはありません。
電池とステップモーターを動力源とするクオーツ式時計であっても、「歯車で針を動かしている」という構造自体は機械式時計と同じなので、部品と部品の間の潤滑油は長期間経過すると劣化していきますし、部品自体も磨耗していきます。
そのため、クオーツ式時計であっても、油の劣化や部品の磨耗を防ぐために定期的なオーバーホールは必要です。ただし、一般的にその頻度は機械式時計よりは少なくても良いということになります。
まとめ
機械式時計やオーバーホールの基本と、機械式時計にオーバーホールが必要な理由について初心者にもわかりやすく解説してきました。
機械式時計は主ゼンマイを動力源として、様々な部品が噛み合って動いています。一見すると非常に簡単な仕組みで動いているように見えますが、それぞれのパーツは1000分の1mm単位で設計されており、熟練の職人技によって入念な調整を経て作られている精密機械です。
だからこそ、機械式時計をずっと使い続けるためには、定期的なメンテナンス、すなわち「オーバーホール」が必要不可欠なのです。
定期的なメンテナンスなしに機械式時計は、その性能を維持させることはできません。
もちろん、オーバーホールを出すタイミングや間隔はその時計のブランド、種類によって異なりますし、各メーカーが推奨する適切なオーバーホールの時期や期間があります。
ただし、できるだけ早い段階で定期メンテナンスをすることが機械式時計を長持ちさせる秘訣です。
仮に使用頻度が低かったとしても、定期的にオーバーホールに出すことを心がけていきましょう。
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