オーバーホールとは 修理依頼
オーバーホール修理事例

時計のオーバーホールとは?修理工程、値段についてわかりやすく解説

オーバーホール(分解掃除)とは

どんな高級ブランドの時計にも、定期的なメンテナンスが必要です。

ロレックスやオメガといった高級機械式時計でも約3~4年ほどで油切れになり、時計の寿命に大きく影響します。

それは、部品と部品の摩耗が生じる箇所の油が劣化、酸化するためです。

油が切れている状態で時計を使用し続けることはパーツの摩耗につながるため、定期的な「オーバーホール」(分解掃除)が必要になります。

ですので本記事では、時計のオーバーホールとは何か?なぜオーバーホールが必要なのか?

また、オーバーホールの値段や修理工程についても初心者の方にもわかりやすく解説をしていきたいと思います。

この記事では、以下のことについて解説しています

時計オーバホールとは?

オーバーホールと修理(メンテナンス)の違いについて

オーバーホール料金(費用)の相場

オーバーホールの工程について

時計のオーバーホールとは?オーバーホールが必要な理由は?

オーバーホールとは、時計のすべての部品を分解、洗浄し、組立、注油、調整、実測、検品までを一連に実施する工程のことです。

大切な時計を長持ちさせ、いつまでも正確に動くようにするために必要となります。

どんなに高級な腕時計であっても、毎日時を刻んでいると必ずどこかしらの部品が摩耗し、油が劣化、酸化していきます。

時計の内部には何種類もの油が使用されているので、油が劣化、酸化した状態で時計を使い続けると、時計の精度は狂い、最終的には動かなくなってしまうことすらありうるのです。

この状態になってしまうとオーバーホール代もかさみますし、もしかするとオーバーホールすらできないかもしれません。

そうならないために、時計には定期的なオーバーホールが必要となります。

定期的なオーバーホールをしっかりと実施していれば、時計の性能を維持させることができますし、何よりもあなたの大切な時計の寿命を伸ばすことができるのです。

余談ですが、時計のオーバーホールに馴染みのない方でも、車のオーバーホールならご存知の方は多いのではないでしょうか?

車の場合もオイルが汚れると、オイルの燃えカスであるスラッジ(汚泥)が発生し、自動車のエンジンの性能や燃費が悪化してしまうのです。

時計もその性能を維持させるために定期的なオーバーホールを必要とするわけですね。

オーバーホールと修理の違いは?

次に、時計のオーバーホールと修理の違いを分かりやすく解説したいと思います。

オーバーホールと修理の違いは、以下の通りです。

・オーバーホール

=時計のすべての部品を分解、洗浄し、組立、注油、調整、実測、検品までを一連に実施する工程のこと

・修理

=時計の不具合・故障の原因となるパーツの修復・交換を行うこと

つまり、オーバーホールは自動車に例えるならオイル交換、人間に例えるなら健康診断のような、その性能を維持させるための定期的なメンテナンスのことを言います。

一方で修理とは、すでに壊れてしまったり不具合が起きているパーツの修復と交換をすることを言います。自動車に例えるならタイヤの交換、人間に例えるなら臓器の手術をイメージされるとわかりやすいかもしれません。

つまり、人間が健康的な生活を送るために健康診断を毎年受診するのと同じように、時計もその性能を維持させるために定期的なオーバーホールを必要とするというわけですね。

オーバーホールの値段(費用)の相場はどのくらい?

時計のオーバーホール費用は、ブランドやモデルによって大きく異なります。

また、民間のオーバーホール業者で行うのか、時計ブランドの正規店で行うのかで違ってきます。

民間業者であっても、正規品の部品を使うのか否かでも価格は大きく異なります。

ロレックスとオメガにかかるオーバーホールの費用について、正規店に依頼した場合と、弊社CIEN(正規部品)を比較いたしました。

ROLEX

ブランド名 種類 メーカー
標準修理価格
メーカー納期 シエン標準修理価格 シエン標準修理価格
(新品仕上げ含む)
シエン納期
ROLEXエクスプローラー l77,000約1.2ヶ月27,50038,500約3週間
エクスプローラー ll77,00027,50047,300約3週間
サブマリーナ77,00027,50038,500約3週間
サブマリーナーデイト77,00027,50038,500約3週間
シードゥエラー77,00027,50047,300約3週間
ディープシー77,00027,50047,300約3週間
GMTマスター ll77,00027,50038,500約3週間
ヨットマスター77,00027,50050,600
(ベゼル仕上げ含む)
約3週間
コスモグラフ デイトナ88,00042,90056,100約4週間
カレンダーなし60,50027,50038,500約3週間
デイト&デイトジャスト66,00027,50038,500約3週間
デイデイト88,00031,90045,100約3週間
■ ロレックスのオーバーホール・修理事例ページはこちら

OMEGA

ブランド名 種類 メーカー
標準修理価格
メーカー納期 シエン標準修理価格 シエン標準修理価格
(新品仕上げ含む)
シエン納期
OMEGA クオーツ(シーマスター・コンステレーションなど) 74,800 約1.2ヶ月〜 27,500 38,500 約3週間
クオーツ・クロノグラフ 90,200 要確認 要確認 約3週間
自動巻き 3針(シーマスター、コンステレーションなど) 105,600 27,500 38,500 約3週間
自動巻き クロノグラフ(スピードマスター、シーマスターなど) 135,300 38,500 49,500 約3週間
手巻き クロノグラフ(スピードマスター プロフェッショナル) 135,300 38,500 49,500 約3週間
■ オメガのオーバーホール・修理事例ページはこちら

※実際の料金は時計を弊社でお預かりして、技術者による診断実施後に確定いたします。 記載されている料金は目安としてご覧ください。

基本的には、価格はメーカーに依頼するよりも安く、納期もメーカーに依頼するよりも短い設定となっております。

メーカーに依頼する方が金額が高い理由としては、各ブランドメーカーの正規店でオーバーホールを行った場合は1年から2年のメーカー保証書をもらうことができるという理由が1つ挙げられます。

金額が高い代わりに、正規店からの安全と保証をもらうことができるというわけです。

弊社でも時計修理完了後、1年間の保証をお付けしておりますのでご安心下さい。

さらに、新品仕上げと呼ばれる高い技術の磨きもご用意しており、購入当時のような綺麗な状態に仕上げさせていただいております。

万が一の不具合も責任をもって対応させていただきますが、正規店よりもリーズナブルに、短納期のオーバーホールをお約束いたします。

オーバーホールの工程についてわかりやすく解説

では、時計のオーバーホールの工程について具体的に見ていきたいと思います。

オーバーホールには、次の8つの工程があります。

1.分解

2.洗浄

3.組立&注油

4.タイミング調整

5.新品仕上げ

6.防水テスト

7.持続時間テスト&巻上テスト

8.検品&完成

時計の分解

1つ目の工程では、時計を完全に分解します。

弊社では、ゼンマイの1本1本にいたるまで、すべての内部部品を完全に分解しております。

分解 分解

一般的に、ここまで完全に分解するという例はあまりございません。

なぜなら、すべての内部部品を完全に分解するということは、それを完全に復元できる技術力も同時に要求されるからです。

技術力がないと、復元ができなくなってしまうリスクを伴います。弊社はその技術力を持ち合わせているからこそ、内部部品を完全に分解することができるのです。

弊社では丁寧なオーバーホールをするため、ご依頼いただいたお客様の時計の部品ひとつひとつを専任の時計技術者が真心込めて分解しております。

2. 洗浄

2つ目の工程では、分解したパーツを洗浄し、綺麗な状態にします

洗浄用バスケットに1つ1つ丁寧にパーツを収め、特殊な洗浄器で汚れを落とします。

洗浄の過程は3~4段階に分かれており、厳密に定められた時間内で専用の薬品を使用して洗浄を繰り返すことで部品に付着した細かい汚れを綺麗に落とすことができます。

洗浄 洗浄

時計のケースとブレス(時計を腕に装着するための部位)については、超音波洗浄にて徹底的に汚れやサビを取り除きます。

洗浄 洗浄

洗浄したパーツの組立&注油

3つ目の工程では、洗浄したパーツを組み立て、注油をしていきます。

組立では、経験を積んだ職人がパーツ1つ1つを丁寧に組み上げていきます。

組立&注油浄

注油では、多くも少なくもない厳密な量のオイルを注いでいきます。

オイルが多すぎると溢れてしまいますし、少なければ時計の寿命にも影響してしまうからです。

組立&注油

注油の量は各モデルごとに異なり、非常に繊細で神経を使う作業工程となっておりまして、その注油量を知っているのは世界でもごく限られた技術者だけなのです。

タイミング調整

4つ目の工程は、機械式時計のタイミング調整をします。

タイミング調整とは、時計の精度を調整するものです。0.001ミリ秒単位の微調整をくり返しながら、精度を合わせていきます

洗浄

最終的にはおおよそ「日差0~+10秒」程度を目指して調整していきます。

機械式時計の精度の追求には、とてもデリケートな技術が要求されます。「日差0~+10秒」と言ってもあまりピンとこない方も多いかもしれませんが、標準的なクロノメーター(*)は日差-5~+8秒の範囲ですので、「日差0~+10秒」という値は、標準的な精度よりも高精度な状態になります。

*クロノメーターとは、時計について一定の品質・精度を保障するための規格のことを指します。

*メンテナンス後、ご使用になられた所感として、歩度(時計の進み、または遅れの度合い)に大きな進みや遅れが出ている際はご連絡ください。

*お客様のご使用状況の違いなどによって多少の進みや遅れが発生することもございますので、その場合は弊社着払にてご発送ください。再調整させていただきます。

新品仕上げ(研磨)

5つ目の工程は、新品仕上げです。

新品仕上げとは、外装の研磨作業になります。

日常的に使用していると時計に使用傷が付いてきますが、それを研磨専門の技師が磨くことによって、時計本来の輝きを取り戻すことができます。

新品仕上げ

弊社では、オーバーホールを行う技術者と仕上げ(磨き)を行う技術者とで分業をしております。

そのため、新品仕上げのクオリティーには大変自信があります。

時計技師の中でも、新品仕上げ(磨き)に特化した職人の技術は他の技師とは一線を画しています。

新品仕上げ(磨き)の具体的工程としては、まずはケースやブレスレットを分解して1つ1つの部品を綺麗にポリッシュ(磨いてツヤを出す)します。

研磨(新品仕上げ)をすることで、新品同様の輝きを取り戻すことができるのでご好評頂いております。

ケースやブレスレットを分解しひとつひとつの部品を綺麗にポリッシュします。 ポリッシュをすると時計の形が変わってしまうのではと不安になる方もおられるかも知れません。

しかしながら、極限の薄さで軽く丁寧にポリッシュしますので、時計の形が変わるような事はないと考えられています。

このような技術で、ピカピカの新品のような輝きを再び取り戻す事ができるのです。

ロレックス サブマリーナ コンビ 型番:16613 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
ケースサイドや金の部分に目立つ傷があります。
After
新品仕上げafter
丁寧に磨き上げることで
綺麗な鏡面仕上げが仕上がります

IWC アクアタイマー GSTクロノグラフ 型番:3707-13 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
全体的にキズ、打痕がみられます
After
新品仕上げafter
ヘアライン仕上げと鏡面仕上げも綺麗になりました。

ロレックス デイトジャスト レディース 型番:79174 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
ガラスが割れ、全体的に擦りキズあり
After
新品仕上げafter
ガラス交換して、ケース、ブレスも綺麗に仕上げました

カルティエ サントス ガルべ SM 型番:W20066D6 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
複雑な仕上げモデルに全体的にキズ
After
新品仕上げafter
ベゼル、ブレス飾りネジは鏡面仕上げに、ケースはエッジだけ鏡面の特殊デザインも新品の時のような輝きに復活

オメガ スピードマスター プロフェッショナル 型番:3570-50 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
スピードマスターのプラスチック風防。キズがつきやすいモデル
After
新品仕上げafter
プラスチック風防は、新品仕上げの際に綺麗に磨くことができます。

ブライトリング ナビタイマー ブレス 型番:A232G32NP 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
ケース、ブレス共に鏡面仕上げのモデル
After
新品仕上げafter
ケースも7列ブレスも綺麗に鏡面仕上げできました。

ロレックス デイトジャスト コンビ レディース 型番:79173 新品仕上げ

Before
新品仕上げbefore
全体的にキズがついているモデル
After
新品仕上げafter
ケース、ブレスは勿論。ベゼルのくすみも綺麗に仕上がります。

*当てキズなどの深いキズの場合は、深追いしてポリッシュはいたしませんのでご安心ください。

*深いキズがある場合はケースの変形を防止するため、キズをあえて残す場合がございます。

*このようなキズのあるケースの場合、別途ご要望があればご相談ください。

防水テスト

6つ目の工程は、防水テストです。

防水テストでは、カプセル内にセットした時計を加圧し、時計に生じた歪みの変化を精密な精度で検出して防水性の合否判定を行います。

弊社では防水テストの設備が整っているため、安心安全の検査を保証いたします。

防水テスト 防水テスト

持続時間テスト&巻き上げテスト

7つ目の工程は、持続時間テスト&巻上テストです。

ケーシング(*)後、時計をサイクロテスター(*)にセットし、ランニングテスト(*)と巻き上げのテストを実施します。

持続時間テスト・巻上テスト

*ケーシングとは、分解されていた外装部品を組み上げて、取り外していた針や文字板を取りつけてケースに入れることです。

*テスターとは、測定用の計器のことを指します。テスターによって、歩度(時計の進み、または遅れの度合い)を測ります。

*ランニングテストとは、時間が正確に刻まれているかを確認するためのテストのことです。

テストは4〜5日ほど連続して行います。このテストが終了すると、再度テスターにて歩度(時計の進み、または遅れの度合い)の調整を行います。

検品&完成

8つ目の工程が、検品と完成です。

磨き上げたケース、ブレスレットを時計に取り付け、最終の動作確認を行い、磨きの仕上がりを専門の技師がチェックしてオーバーホールは完了します。

検品・完成

まとめ

あなたの大切な時計をずっと使い続けるために必要なもの、それがオーバーホールです。

定期的なメンテナンスなしに機械式時計は、その性能を維持させることはできません。

もちろん、オーバーホールを出すタイミングや間隔はあなたの時計のブランド、種類によって異なりますが、あなたの大切な時計の調子が悪くなる前に、できるだけ早い段階で定期メンテナンスをすることが、時計を長持ちさせる秘訣なのです。

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この記事の監修
株式会社CIEN 代表取締役
山口 芳寛
正規代理店、並行輸入店の両方にて高級時計のオーバーホール、メンテナンス、売買に携わって参りました。
高い技術力でお客様に満足頂けますよう努力いたします。

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